51.5%の人が「実施していない」と回答、耐震診断とは?

  • Update: 2018-01-28
51.5%の人が「実施していない」と回答、耐震診断とは?

今年の1月に内閣府が発表した「防災に関する世論調査」の結果によれば、住宅の耐震診断について51.5%の人が「実施していない」と答えています。「耐震改修」の状況についての質問(住宅に耐震性があったことを確認した人などを除く)でも37・7%の人が「するつもりはない」と回答しています。

地震大国で度重なる地震被害を目の当たりにしながら、なかなか浸透しない耐震診断。

実際にはどんなものなのでしょうか?今回は、ホームインスペクター(住宅診断士)が耐震診断について解説します。

2000年6月以前建築の建物は耐震診断がお勧め

建築基準法による耐震性の規定は、時代により想定される建物強度が異なるため、診断にはまず、建築された時期を知る必要があります。この築年数が分かれば、適用された基準がどの規定に沿うものかを判断することができます。

耐震基準が大幅に変更されたのは1981年。これ以前の建物は震度6強や7レベルの地震が起きた場合、倒壊・崩壊の可能性が高く懸念されています。

続いて大きく耐震基準が変更されたのは、1995年の阪神淡路大震災後の2000年6月です。大震災の被害を受け、2000年6月以降地盤調査が実質義務化されたり、木造建築における金物の規定や耐力壁の量とバランスが規定されたりなど、巨大地震に備えた耐震設計がより厳しくなりました。

つまり、2000年6月以前に建てられた木造建築物は、以降に建設された建物より耐震強度が劣る可能性があります。耐震性が気になる方は、建築時期を確認の上、1981年以前の建物はもちろんのこと、2000年以前に建築された建物も耐震診断の実施をお勧めします。

なお、2000年6月以降は現在と同じ法規ですので、原則として耐震診断の実施は必要ではありません。

耐震診断はどのようにおこなわれるの?

耐震診断は、専門家による現地での建物劣化診断と図面データを元にした計算により行われます。現地調査は非破壊で行い、数時間で終わるため、居住中での実施が可能です。診断後に耐震性が低いことが判明した場合、補強工事や大規模修繕のタイミングを検討が始まります。

診断費用は、数万~15万円程度で住宅規模により様々です。耐震診断や耐震改修工事にかかる費用の助成を行う自治体もあるため、費用が気になる方は診断実施前にお住まいの地方自治体に問い合わせてみるのもよいでしょう。

築年数によらないことも…

口頭で施工関係者から築年数を把握できたとしても、適用された建築基準法がその時代のものと異なるということもあります。完成したのは建築基準法改正後だが、実際に確認申請を出したのは改正前、なんてケースがあるのです。

また昔の耐震基準で建てられた場合でも、たまたま高めの耐震設計で建てられていることや、適切なメンテナンスや補強が施されていて、耐震診断の結果耐震基準を満たなんてこともあります。
ご検討の方はまず『建築確認申請』や『検査済証』『設計図面』が保管されているか確認しましょう。『検査済証』は適用された建築基準法を示すもので、『建築確認申請』だけでは提出したとおり(図面通り)に建てたかの判断が難しくなります。また建設時の正確な図面があれば、診断を行う上でより精密な情報を元にした診断が可能となり、構造の安全性を考えながら、よりスムーズ工事計画を立ててもらうことができます。

原則として、建築基準法の改正前後(~1981年5月/1981年6月~2000年5月/2000年6月~)では耐震基準が異なります。

以上を参考にして、耐震性が気になる方はこの機会に耐震診断をご検討されてみてはいかがでしょうか。