季節の変わり目は住まいの要注意シーズン

  • Update: 2015-05-15
季節の変わり目は住まいの要注意シーズン
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さくら事務所 編集部

「もう●年も住んでるから、ちょっとは家の中が傷んでしまっても仕方ないか・・・」と、住まいの傷み(劣化)をあきらめていませんか?できれば綺麗なままがいいと思いながらも、経年すれば仕方ないと、劣化を受け入れている方も多いことでしょう。

でも、ちょっとした毎日の過ごし方のちょっとした工夫で、少しでも家の中や外の傷みを減らせます。特に気温や湿度が急激に変化する今の時期は、それに合わせて住まい方も少し変化させると、傷みの発生を遅らせられるかもしれません。

自宅一戸建てホームインスペクション

壁紙(クロス)の隙間ができにくくなるよう湿気をコントロール!

壁紙は90センチ程度の幅を貼り合わせているので、家の中にたくさんの継ぎ目があります。新築やリフォーム直後は壁に近づかないと気付かなかった継ぎ目の隙間が、時間が経つほどに目立つようになることがあります。

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継ぎ目の隙間が目立つようになる原因の代表が『湿気』。壁紙は湿度が上がれば伸び、湿度が下がり乾燥すれば再び縮みます(材質により伸び縮みの程度は異なります)。また、継ぎ目部分に水分が触れることで接着力が落ち、これらを繰り返しているうちにいずれ隙間ができてしまうのです。

初夏から夏にかけては湿度が高まる時期。日によっては80%を超えることもありますから、せめて家の中ではその湿度をさらに上げない工夫をしたいもの。そこで、以下のようなちょっとした住まい方の工夫で湿度を調節できれば、少しでも隙間ができにくくすることができるかもしれませんので、試してみてくださいね。

水がかかったらすぐによく拭きとる

洗面所などで壁紙に水が頻繁にかかっていると、継ぎ目部分から徐々に隙間が開いてくることがあります。水滴が壁紙に飛んだらすぐに拭いておきましょう。

家の複数の窓を開けて換気する

一ヶ所開けるだけでは空気は動きにくいもの。できれば離れた窓を複数開けることで湿度を含む空気を動かします。

お風呂を上がった直後はドアを閉めて換気する

入口ドアを開けると浴室内の蒸気を排出できて浴室内も乾燥しやすくなりますが、洗面室(脱衣所)は湿気が多くなります。換気扇や窓から少し蒸気を排出してから入口ドアを開け浴室を乾かします。

日あたりが良くない外壁面には家具をくっつけて置かない

その住宅の断熱性能にもよりますが、日が当たらない部屋を寝室にしている場合、外に面した壁に家具をぴったりくっつけて置くと、壁の表面が結露した場合でも空気がほとんど動かないことから乾燥せず、カビが生えてしまうことがあります。(結露は冬だけでなく夏にもすることがあります)

mold on the wall

家具の裏側にカビが生えれば、家具を置いている間は何も気づかず、模様替えや引っ越しのタイミングでずっとカビと一緒に生活していたことに気付くこともあります。

そこで、家具を壁から2~3センチ程度離して置くようにします。湿気が家具と壁の間に溜まったままになるのをできるだけ防ぎ、カビの繁殖を増やさないためです。カビは見た目の汚れの問題だけでなく、胞子が室内に飛んで健康被害が起きることが恐いもの。できるだけカビが好む湿気を減らすために、家具裏側の空気 が少しでも動くようにしておきましょう。

フローリングにこぼした水は放置せず、隙間の水分も吸い取る

飲み物などの水分をフローリングの床にこぼしたら「木に染み込んでしまう。早く拭かなきゃ!」と慌てて拭く方は多いでしょう。これは大正解。フローリング表面が木製でもプリント(印刷)シートでも、長期間、水たまりを放置しておけば表面が傷むことがあるからです。

ただ、表面を拭きとって安心してはいけません。少量の水分ならいいですが、多量の水分をこぼした場合は、フローリングの『継ぎ目(隙間)』に水分が染みこむことがあるからです。表面は乾いて見えても、隙間から水が染みこんだ板内部は乾燥しづらく、継ぎ目部分や表面が変色・変質することがあるのです。
たとえば、下記の写真はリビングに置いていたワインセラーから結露した水が床に垂れ続け、引っ越しで家具を移動させたらフローリングが変色(変質)してい た例です。ここまでフローリングが傷むと、表面を補修材で塗るなどの方法ではカバーしきれず、張り替えしないと見た目を戻せません。

flooring

フローリング床は、工法や製品にもよりますが、1枚~数枚セット(ユニット)になった板をお部屋の中でつなぎ合わせて貼っています。

flooring unit

先ほどのワインセラーで傷んだフローリングを見てみると、複数枚のフローリングを継ぎ合せてユニットにしているので、写真の赤丸のように継ぎ目部分に入り込んだ水分で変色しているのがわかります。こぼした水分の量が多めのとき、また、量の多少にかかわらず心配なときは、『継ぎ目(隙間)』にキッチンペーパーなどの「薄くて吸収力がある紙」を差し込 んで吸い取るようにしましょう。

ドアクローザーがついた扉は無理に引っ張って閉めない

リビング入口のドアやマンションの玄関ドアに取り付けらいることが多いドアクローザー。ドアが勢いよく閉まらないよう、ゆっくり閉まる仕組みになっています。

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指を挟んだりドアが閉まる大きな音がしないので便利なのですが、ちょっと急いでドアを閉めたいときにはこの「ゆっくり」がもどかしいことも。そんなとき力を 入れてぐいっとドアを閉めてしまうことがありますが、これを繰り返しているとドアクローザーが破損し、ドアがゆっくり閉まらなくなることがあるのです。

ドアクローザーは内部に入っている油の特性を利用してドアがゆっくり閉まるようになっています。無理にドアを閉めれば急な動きに油圧で動く部分が対応できず壊れてしまいます。ドアクローザー付きのドアは自然に閉まるのを待ちましょう。

なお、あまりにドアがしまるスピードが遅い場合は、製品によりドアクローザー本体でスピードを調整できることがあります。取り扱い説明書などで確認してみてください。

外壁に植物の「つる」が絡んできたら早めに撤去

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外壁に、蔦(つた)など植物の「つる」が張り付きはじめたら、なるべく早めに手で取り除くのがお勧めです。放っておくと雨漏りの原因になったり、撤去に手間と費用がかかりやすくなるからです。
長期間放置すると、つるが枝分かれし壁に根を張り巡らしながら増えていくので、ひどい場合は外壁に小さな穴をあけて雨漏りの原因になることがあります。

また、いざ外壁補修のタイミングで撤去しようとしても、根がしっかりくっついていれば、容易に引く抜くことができず、外壁補修の前に植物を手作業で抜くとこ ろから工程を考えることになります。
植物の種類によっては気温と湿度が高い時期には1日に数センチも伸びることがあり、この時期にうっかり見過ごしてしまうと気づいたときには手が届かない上部のほうまでつるが伸びてしまい、自分では容易に対処できなくなってしまうかもしれません。
木造建物でも鉄筋コンクリート製建物でも、外壁に植物がくっついていたら成長する(根が伸びる)前に手で撤去しておきましょう。


自分が住み続けるためにも綺麗であってほしいのはもちろんのこと、将来、中古での売却を想定している場合は、なるべく見えるところの傷みを引き起こしたくないものです。どれも特別なことではなく、日常生活のいろんな動きに「ちょっとだけプラスアルファ」する程度の工夫ですので、できることから試してみてはいかがでしょうか。