中古マンションの耐震性について知っておこう

  • Update: 2014-04-18
中古マンションの耐震性について知っておこう

中古マンションを購入するとき心配になるのが「建物は大丈夫なのだろうか?」ということ。

「大丈夫」の種類にもいろいろありますが、多くの方が心配するのは「耐震性」でしょう。

購入時の検討にお役立ていただけるよう、マンションの耐震性チェックポイントについて解説します。


マンションの耐震性は個人単位では調べられない

よく中古マンション契約前のホームインスペクション(住宅診断)をご依頼される方に「耐震性を調べてほしい」と言われますが、「調べるのは容易ではない」とお答えしています。

理由は以下2つ。

1.図面や建物の状態を調べて行う「耐震診断」に数百万円のお金がかかる

2.図面の借用や共用部分の劣化診断など管理組合の承認が必要

2つとも、個人では絶対にできない・・・とは言いません。

ですが、建物1棟を買い取るというのではない限り、1部屋の売買のために数百万円の耐震診断を行うのはやはり現実的ではないでしょう。

中古マンション

なお、比較でご紹介しておくと、木造一戸建てなどは比較的短期間(1週間程度)、安価(6万円前後から)で耐震診断が可能です。

 耐震性を知るためのチェックポイントは「建設時期」

不動産業界でよく目にする「1981年」「昭和56年」という年。

これは、建築基準法の耐震設計の考え方が大きく変わった年です。

「1981年以前=旧耐震基準」の建物は、阪神大震災や東日本大地震などでも倒壊した(大きく崩れた)建物があり、耐震性が低い可能性もあると考えられています。

対して「1981年以降=新耐震基準」の建物は、きちんと設計・施工されていた場合という条件はつきますが、法律の基準に則して建設されていれば、大きな地震でも「人命を失うような壊れ方はしない」とされています。

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コンクリートという固い構造物ですから、大きな地震の影響を受ければ割れたり崩れたりということはあり得ますが、新耐震基準の建物であれば、ワンフロアがつぶれてしまう、建物が完全に横倒しになるといったような生命を脅かす規模の壊れ方はしないであろうとされているのです。

旧耐震基準であっても、建物の形状や地盤・地形の状況、震源地との距離などにより大地震発生後も問題なく使えている建物もあり、絶対に壊れるということもいいきれません。

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ちなみに中古マンションホームインスペクションの現場でも、耐震性は簡単には調べられずこういった情報をもとに、最後は個人の価値観で考えましょうと解説することが多いです。

1982年前後の完成物件は「建築確認」の日をチェック

こういった理由で、1981年以降の新耐震建物は、不動産売買においても旧耐震よりも高い金額評価をされることがあります。

ただし、ここで注意したいのは1982年前後に完成した物件。

新耐震と旧耐震の切り替えが行われたのは「19981年6月1日」だからです。

1981年5月31日までに「確認申請(役所への申請)」を行った建物は旧耐震での設計が許されており、1981年6月1日以降に確認申請を行った建物からは新耐震での設計が義務付けられました。

マンション建設は確認申請から概ね1年前後かかりますので、そう考えると「1982年完成」と表示されている建物の中には、旧耐震もあると考えられるのです。

建設期間が1年以上かかった場合であれば1983年建設ということもありえますので、新耐震の建物がいい!という方で、見ている物件が1982年前後の完成の場合には「建築確認日(受理された日)」を調べましょう。

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