【今こそ考えよう!実家対策①】新型コロナや自然災害がもたらす『空き家問題』

  • Update: 2020-07-16
【今こそ考えよう!実家対策①】新型コロナや自然災害がもたらす『空き家問題』

2020年は世界を新型コロナウィルスが襲いました。日本では、全国の緊急事態宣言が解除された後、PCR検査が広く受けられるようになったのと同時に、感染者数が増加の一途を辿っています。
例年であれば8月のお盆休みには実家に帰省する方も多いと思います。しかし今年は新型コロナ感染拡大防止の観点から、ゴールデンウィーク同様に帰省を断念する方が多くなりそうです。
今まで普通に行けた故郷に気軽に行けなくなる現実があることを突きつけられた2020年。こんな時だからこそ、少し先の「ご自宅」を見据えて、オンラインツールなどを使い、ご家族や大切な方々と一緒に話し合う・考えるきっかけになるコラム『今こそ考えよう!実家対策』を2回に分けて掲載します。「備えあれば憂いなし」を実感いただけますように…。

第一回目は、特に最近よく耳にする「空き家問題」
野村総合研究所の予測によれば、2033年の国内空き家率は27.3%。実に4軒に1軒が空き家となる計算です。故郷にある実家。「まだ大丈夫だと思うから考えたくない」「将来、誰かが住むかも」「いつか誰かに貸そう」「どうにもならなくなったら売れば良い」という“とりあえず空き家”としている方も多いのではないでしょうか。ただ、その“とりあえず”の間の対処次第では、将来住む・貸す際に必要になるメンテナンス費用が大きく変わってくるかもしれません。さらに売却の場合は、思うような金額で売れない可能性もあります。
そこで、一戸建てのホームインスペクション(住宅診断・建物調査)で空き家点検の経験も豊富なホームインスペクター(住宅診断士)が「空き家状態の実家で見るべきポイントと対策」をまとめました。
将来、実家が空き家になるかも……という方、また今現在新型コロナ感染拡大の影響で実家が空き家状態になっている方も是非チェックしてください!

庭やベランダの植物が建物に与える思わぬ悪影響!

庭に樹木はありませんか?樹木の根っこが土の中で伸び、建物の基礎を押して建物自体に悪影響を与えることがあります。
また、建物の外壁に植物のツルが這っているような場合も危険です。建物の隙間から入り込んで成長し建物がひび割れたり、植物の水分からカビや腐食したりすることもあります。
植物は定期的に様子を見て、害を及ぼす前に剪定などのメンテナンスをすることが大切です。

知らぬ間に住みつく思わぬ侵入者にも注意!

建物の大敵と言えば“シロアリ”。空き家であってもシロアリの防蟻処理は5年ごとに行った方が良いとさくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)はアドバイスしています。シロアリの食害による建物へのダメージは大きいからです。
空き家の場合、思わぬ侵入者はシロアリだけではありません。
屋根、屋根裏、床下に、アライグマ、ハクビシン、スズメバチなど歓迎できない侵入者が住みつくことも。ひどい場合だと、それらの侵入者の糞尿で天井が腐って抜け落ちることもあります。
さびて破損した換気口が侵入口になっている可能性もあります。直ぐに修理ができない場合には、市販の防虫ネットをつけると良いでしょう。

閉めきった室内ではカビにご注意!

長期間、閉めきった室内は、空気がよどみ、湿気でモワンとしています。
さくら事務所のコラム「梅雨シーズン到来!ホームインスペクター(住宅診断士)が解説『No!カビ対策』とは!?~カビと同居しない住まいかた編~」でも書いたように『カビ』は大好物の「70%以上の湿度」「20~30度の気温」「食品の食べかす・ほこり・汚れ・ダニなどの栄養分」さえあれば、人が住んでいようがいまいが、遠慮なく発生します。
特にタンスの裏などは湿気が溜まりやすいので、タンスは壁から数センチ離して置くことが望ましいです。
そして室内の扉も開けておくのがベスト。通気性はもちろんのこと、湿気による建材の収縮で開けづらくなったり、開けられなくなったりするのを防ぐためです。

台風やゲリラ豪雨シーズン前必ずバルコニー内をチェック!

バルコニーは屋根と同じように降雨に晒されて雨水は外に流すようになっていますが、その様子は外観からは手すりなどがあって分かり難くなっています。近くに樹木があれば落ち葉が入ったり、暴風雨でバルコニー内の物が倒れることもあり、排水が詰まるとバルコニーから雨水が溢れて雨漏りになります。
これからの台風やゲリラ豪雨のシーズンは特に要注意ポイントです。
空き家になる場合にはバルコニー内には物は置かない。定期的に落ち葉などのゴミは必ず取り除いておきましょう。

夏には考えにくいけれど冬支度も忘れずに!

夏の暑い時期には考えにくいですが、冬場は都内でも水道管が凍結、破裂というニュースが相次いだ年がありました。
なかなか定期的に見に行くことが難しい場合、冬に備えて「水抜き」をしておきましょう。
元栓を閉め、水道管を開いて、配管の中の水を出しきります。中に凍る水がなければ、水道管は凍結も破裂もしません。このとき、給湯器の水抜きもお忘れなく。
誰かが住んでいれば気づく不具合も、誰も住んでいなければなかなか気がつかず、知らない間に状態が悪化してしまった…というのが空き家の落とし穴です。
これから暴風雨などの自然災害も多くなる季節。実家や空き家をどのように管理をしていくのか家族会議でしっかり対策をしましょう。
定期的に点検できないようであれば、ホームインスペクター(住宅診断士)に点検してもらうことをおすすめします。屋根裏や床下など普段は点検が難しい場所に絞ってホームインスペクター(住宅診断士)にチェックしてもらうことも可能です。

次回は、「被害拡大の一途を辿る災害リスク 必要な『建物の防災』とは」をお話しします。