中古住宅の購入は配管の状態をチェックする!

  • Update: 2020-06-20
中古住宅の購入は配管の状態をチェックする!

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

中古住宅を購入するとき、見た目がきれいであることも重要ですが、隠れて見えない部分にも注目することが重要です。
とくに水道配管の状態は老朽化によって不具合が起こると、大がかりな交換工事が必要となるため、生活に支障を及ぼす可能性があります。
また水漏れとなると、交換するだけでなく周辺の手直し工事や近隣とのトラブルに発展することもあるため注意が必要です。
今回は、通常隠れている水道配管の耐用年数や、住宅購入の際の配管に関する注意点について解説したいと思います。

中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)

水道配管の種類と耐用年数について

水道配管として使用される材料は、時代とともに何度かの変遷を遂げています。
というのも過去使用されていた材料は何らかの問題が発生しており、建物や生活する人の安心や安全を脅かす可能性があることから、改善を重ねてきた経緯があるためです。
水道配管は、劣化が進行すると水漏れなどの原因となるため、事態が深刻になる前に対策をしておくことが必要です。
しかし、築年数の古い住宅において、傷んだ水道配管をそのまま利用しているケースも少なくありません。
水道配管には種類によって耐用年数が設けられており、その年数を目安として交換するなどの検討を行う必要があります。
これまで採用されているおもな水道配管の種類と耐用年数について解説いたします。

●亜鉛メッキ鋼管

1960年代まで主流となっていた水道管です。
経年とともに内部において亜鉛が溶けたり、サビが発生して赤水の原因となったりするため現在では使用することは禁止されています。
耐用年数はおよそ15~20年とされています。

●塩化ビニルライニング鋼管

1970年代から広く普及した水道管です。
鋼管の内側に塩化ビニル樹脂をコーティングすることで、内部のサビや腐食を防止できるといった製品になります。
ただし、初期のころは、管どうしをつなぐ部材となる継手は依然として亜鉛メッキ素材を使用していたこともあり、内部でサビが発生するという不具合は残っていました。
その後は樹脂製の継手も開発されるなど技術の進歩に伴って徐々に不具合も減少することになります。 耐用年数はおよそ20~25年とされています。

●塩化ビニル管

近年においては非常に幅広く採用されている合成樹脂の水道配管です。 材料コストが安く、施工性に優れ、またサビや腐食の心配もないという非常にメリットの多い素材になります。 ただし樹脂製であることから高温や急激な温度変化に弱く基本的に給湯管には適しませんが、一部で耐熱性に優れたものなどもあります。 耐用年数はおよそ40~60年とされています。

●架橋ポリエチレン管・ポリプテン管

近年急速に普及が進んでいるさや管ヘッダー工法で使用される合成樹脂の水道配管です。
さや管ヘッダー工法とは、ヘッダーと呼ばれるユニットから、継手を使用することなく各水栓に対して直接供給が行われる給水および給湯の配管方式のことです。
さや管と呼ばれる樹脂製の保護管の内側に架橋ポリエチレン管やポリプテン管を通して2重構造とし、ヘッダーから分配してキッチンやトイレなどの各設備機器へと接続します。
配管に継手がないことから漏水や腐食を防止することができることや、配管を交換する場合はヘッダー部からさや管内部の樹脂管を引き抜くだけといったメンテナンス性に優れることなどが特徴です。
耐用年数はおよそ30~35年とされています。

中古住宅の配管に関する注意点とは

中古住宅を購入するときに注意しておきたいことは、水道配管の劣化状況です。
とくにリフォーム済みの物件など、仕上げは新築同様にきれいでも隠れて見えない水道配管などは耐用年数を超えて老朽化が進行している可能性もあります。
水道配管はいつか必ず寿命がくるため、劣化の状況から判断し、場合によっては交換することが必要です。
配管を交換するタイミングはリフォームと同時に行うことが最適で、もし交換されることなく後に不具合が発生した場合は周辺を解体するなどリスクが伴うため注意が必要です。
中古住宅で配管に注意しておきたいポイントについてご紹介いたします。

●水道配管は素材を確認

水道配管の素材を確認し、耐用年数を考慮して検討することが重要です。
亜鉛メッキ鋼管である場合は、不具合が多く現在は使用禁止となっていることからほぼ耐用年数を超えていると考えられます。
高圧洗浄で内部のサビやつまりなどを除去するという方法をとるケースもありますが、既存の配管を延命するための措置でしかなく、いずれ交換する必要があるでしょう。
塩化ビニルライニング鋼管の場合は耐用年数を超えていないかということ、そしてとくに確認しておきたいのは継手の素材です。
築年数が古い建物は、塩化ビニルライニング鋼管を使用していても継手に亜鉛メッキ素材のものを使用しているケースが多くあります。
亜鉛メッキの継手が使用されているとサビや劣化による不具合が起こる可能性があるため注意が必要です。

●マンションの配管は経路を確認

中古マンションの配管について確認しておきたいのは、その経路です。
注意しなくてはいけないのは、水道配管が床のスラブを貫通して下の階の天井裏を通っているケースです。
この場合、配管の交換は構造躯体に手を加えることになるため不可となることや、何か行うにしても下の階の人に許可を得る必要があることなど、大きな障害がいくつも想定されます。
別ルートで新しく配管を設置するという方法もありますが、余計なコストが必要となることは考慮しておく必要があるでしょう。

配管の老朽化は大きなリスク!専門家に相談するのも効果的!

水道配管は経年によって必ず劣化が進行しますが、隠れて見えなくなることから見落としやすい部分となります。
しかし老朽化が進むと非常にリスクの大きな部分となるため、必ずチェックしておくことが重要です。
そこで効果を発揮するのがホームインスペクション(住宅診断)です。
ホームインスペクション(住宅診断)は、専門的な見地から配管の劣化状況などを見きわめ、第三者の立場から適切なアドバイスを行うことができます。
中古住宅の購入前にホームインスペクション(住宅診断)を行うことで、水道配管やその他建物の状態を知り、欠陥の有無、あるいは改修の必要性などを判断することができます。
そうすることで不安を解消し、リスクを軽減することにつながるのです。

まとめ

中古住宅の購入を検討する際には、水道配管の状態についても確認をすることがリスクを回避する意味において非常に重要です。
また水道配管の耐用年数を迎えるころには、交換を検討することが必要なタイミングであることも意識しておいたほうがよいでしょう。
そして配管を交換するのであれば、リフォームやリノベーションのタイミングを逃さないことをおすすめいたします。
中古住宅購入の際には、ホームインスペクション(住宅診断)を行い、専門家からの意見を参考に判断してみてはいかがでしょうか。

ホームインスペクター 豊泉 元
監修者

さくら事務所 プロホームインスペクター
さくら事務所 住宅診断プランナー

豊泉 元

大学工学部卒業後、建設会社に入社。ものづくりを現場で経験するため、住宅の基礎やマンション躯体の施工業務に職人(多能工)として従事。その後、大手リフォーム会社の現場管理者として、既存住宅及びマンションの改修工事に携わる