マンションリフォームで「できること」と「できないこと」とは?

  • Update: 2020-05-19
マンションリフォームで「できること」と「できないこと」とは?

マンションを購入してリフォームをしたいと思ったとき、必ず「できること」と「できないこと」を理解しておかなければなりません。
というのも、万が一誤って「できないこと」をやってしまうと、原状回復をしなければならない場合もあるなど、事後処理がたいへんです。
今回は、マンションのリフォームで「できること」と「できないこと」について、その内容をくわしく解説します。

中古マンションホームインスペクション

リフォーム可能な範囲は専有部分のみ

分譲マンションは、おもに専有部分と共用部分に分けられます。
そして個人(区分所有者)でリフォームが可能な範囲は専有部分に限られ、共用部分を個人(区分所有者)が勝手にリフォームすることはできません。
まずは専有部分と共用部分について、それぞれの内容を解説します。

●専有部分とは?

分譲マンションの各独立した住戸には、自由に使用できる権利「区分所有権」が定められています。そして「区分所有権」を行使できる範囲が専有部分です。
専有部分のおもな範囲とは、コンクリートの躯体で囲まれた内側部分にあたる住居スペースになります。具体的には住戸の天井や壁、床などが専有部分になります。
専有部分に限り、区分所有者によるリフォームが可能です。

●共用部分とは?

分譲マンションの共用部分とは、おもに専有部分以外の部分をいいます。具体的にはコンクリート躯体のほかエレベーターや廊下、バルコニー、エントランスなどが共用部分になります。
共用部分は、区分所有者によるリフォームは行えません。

管理規約の確認が重要

分譲マンションには「管理規約」があり、さまざまなルールが定められています。
分譲マンションでリフォームを検討する場合には、「管理規約」に違反していないか事前にチェックすることが重要です。

●管理規約とは?

分譲マンションには「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」によって、区分所有者の権利や義務などが定められています。
そして区分所有法では、それぞれのマンションに応じた管理規約を区分所有者によって定めることを義務付けています。
また、区分所有者は必ず管理組合に加入しなければなりません。
管理組合は区分所有者の資産価値をしっかりと管理する必要があり、そして区分所有者の共同の利益を守るためのさまざまなルールが定められています。
このルールが管理規約です。

●リフォームのルールは使用細則

分譲マンションにおいて、各区分所有者が共同して生活を送るうえでのより詳細なルールを定めたものが「使用細則」になります。
通常、「使用細則」は管理規約とともに作成され、専有部分のリフォームに関するルールなども詳細に規定されていることが一般的です。
禁止事項なども「使用細則」に定められているため、禁止されている工事をしないためにも必ずチェックしておきましょう。
そしてリフォームをする場合は、工事前に管理組合への申請が必要です。これは工事内容について、専有部分でのリフォームであるか、また規約が守られているかなどを確認する作業で、承認を持って工事への移行となります。

●近隣への配慮も重要

リフォーム工事は、騒音や粉じんなどで近隣へ迷惑をかけてしまう場合があります。
事前に挨拶しておくことで、余計なトラブルを回避することにもつながります。リフォーム後も良好な関係を続けるためにも、近隣への配慮は優先して実行するとよいでしょう。

リフォームできるのは?

ここでは、マンションのリフォームでできることを具体的な例を挙げてご紹介します。

●壁紙

天井や壁などの壁紙は、経年とともに破れやジョイント部分の開き、汚れなど、比較的傷みやすく張り替えが必要になる場合があります。壁紙は専有部分になるため張り替えは可能です。
ただし、建物によっては建築基準法に従って準不燃以上の性能が必要となる場合があります。
また、下地にあたる石膏ボードも同様に専有部分になるため、破損があっても補修や張り替えが行えます。

●フローリング

フローリングは、ものを落としたり、経年劣化によって面材が剥がれたりする場合など、状態によっては張り替えが必要になる場合があります。フローリングは専有部分になるため張り替えが可能です。
ただし、管理規約でフローリングの遮音性能に規定がある場合が多く注意が必要です。

●水道配管

水道配管は素材にもよりますが、いずれ劣化するため交換工事が必要になります。
また移動が伴うような水回り設備のリフォームなども配管工事を行います。水道配管は専有部分に位置する場合はリフォームが可能です。
ただし、建物によっては床のスラブを貫通したり埋め込まれているタイプもあり、この場合は躯体を破壊したり下階の天井を解体する必要があるため交換工事は難しくなります。そのまま利用するか、配管を分岐して違うルートで配置する必要があるでしょう。
なお、その他電気やガスなどもメーターを境界として専有部分と共用部分に切り替わります。

リフォームできないのは?

続いて、マンションのリフォームでできないことを具体的な例を挙げてご紹介します。

●窓

窓は、防犯や断熱を目的として、高性能なガラスと交換すると効果が期待できます。しかし、窓は共用部分になることから勝手に交換することはできません。
ただし、管理規約によってはリフォームが可能としている場合があります。窓のリフォームについては、国土交通省によって作成されている「マンション標準管理規約」に以下の規約が定められています。

  1. 防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては管理組合がその責任と負担において、修繕計画として実施するものとする
  2. 管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することができる

窓のリフォームは共用部分になるため、管理組合によって実施されることが基本になりますが、管理規約で定めることで個別のリフォームも可能になります。
窓リフォームを検討している場合は、管理組合に問い合わせてみましょう。

●ベランダ、バルコニー

ベランダの防水や手すりなどは、紫外線や雨水にさらされ続けているため経年によって劣化します。とくに防水は劣化が進行すると雨漏りの原因にもなるため、定期的なメンテナンスが必要です。
またバルコニーなどは、サンルーフを新たに設置したいという人もいるでしょう。
しかし、ベランダ、バルコニーは共用部分にあたるため、リフォームをすることはできません。
また、非難設備などが設置されている事も多いため、倉庫や取り外し可能なシートなどを床に敷く場合も注意が必要です。

リフォームの前に管理規約の確認を

マンションのリフォームは、専有部分については可能ですが、共用部分はできません。
またマンションによっては、専有部分であっても管理規約に独自のルールが定められている場合もあるため注意しておきましょう。
マンションリフォームに際して気になることがある場合は、専門家の意見を参考にすることも効果的です。
建物に関わることは、「専門家相談」のご利用をぜひご検討ください。