中古住宅の選び方配管・設備編 チェックすべきポイント3点をご紹介!

  • Update: 2023-12-11
中古住宅の選び方配管・設備編 チェックすべきポイント3点をご紹介!

中古住宅の選び方にはいくつかのチェックすべきポイントがあります。本記事では、中古住宅を選ぶときの配管や設備といったチェックすべきポイントを「給水管」「排水管」「ガス・電気」の3つに絞って紹介します。どのような点に注目すればよいのかを詳しく解説しているので、中古住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)

中古住宅選びは配管・設備のチェックを行いましょう

中古住宅の購入を検討する際、配管や設備のチェックは非常に重要です。なぜなら老朽化で配管や設備が劣化していると、水漏れ発生の可能性があり、水の流れが悪くなったり、生活排水が漏れ出てきたりする恐れがあるからです。

とくに築年数が経過している中古住宅では、配管や設備の老朽化が進行していてもおかしくありません。また老朽化によって配管に不具合が起こると、大規模な交換工事が必要となり、生活に支障を及ぼす可能性があります。これらの理由から、中古住宅選びにおいて配管や設備のチェックは必須なのです。

給水管(水道配管)のチェックポイント

水回りのトラブルのトップは水漏れです。水漏れトラブルを起こさないためには、購入前に給水管(水道配管)の以下の3つをチェックする必要があります。

  • 水道配管方法の種類
  • 水道配管の材質
  • 水道引込管の口径

ここからはそれぞれのポイントごとに詳しく解説します。

水道配管方法の種類

中古住宅を購入する際、水道配管の種類のチェックをおすすめします。配管方法は主に、ヘッダー工法と先分岐工法の2種類です。

ヘッダー工法では、それぞれの給水点に独立した配管が直接つながっているため、一箇所での水圧の変動が他の給水点に影響しにくい特徴があります。また、漏水した場合でも影響範囲を限定しやすく、当該部分の配管を交換するだけなので、修理が容易です。

一方の先分岐工法は、メインの配管から水回り設備機器の数や位置に合わせて小さな配管に分岐していく形式です。この方式では複数の場所で水を同時に使用している間は水圧が低下しやすく、水の出が悪くなる場合が考えられます。また漏水が起きた場合には、漏水箇所の特定に時間がかかり、大規模な配管の交換が必要になるため、影響が大きいといったデメリットがあります。

水道配管の材質

水道配管の材質は歴史とともに変わり、多様化してきました。それぞれ耐用年数や特徴が異なり、とくに広く普及していた水道配管の種類について一覧表にまとめました。

  • 亜鉛メッキ鋼管
  • 塩化ビニルライニング鋼管
  • 塩化ビニル管
  • ステンレス鋼管管
  • 架橋ポリエチレン管・ポリブテン管

種類

耐用年数

特徴

亜鉛メッキ鋼管

15年程度

鋼管に亜鉛メッキを施した水道配管。経年劣化で内部の亜鉛が溶けたりサビや赤水が発生するため、現在は給水管での新設は禁止されている。

塩化ビニルライニング配管

20年程度

鋼管の内側に硬質塩化ビニルを施しサビ発生を抑制した水道配管。1970年代前半ごろから近年まで使用されてきた。

塩化ビニル管

40年程度

サビや腐食の心配がなく、現在幅広く採用されている合成樹脂の水道配管。

ステンレス鋼管

60年程度

耐食性の高いステンレスを使用した鋼管。赤水などの心配がないため現在も厨房機器、食品工場などに使用されているが、導入コストが高めで継ぎ目のパッキンは約30年程度で交換が必要。

架橋ポリエチレン管

ポリブテン管

30年程度

樹脂が主材料の水道配管。2000年ごろ以降に使用が増加。軽くて柔らかく、施工・メンテナンスが容易。また、配管に継ぎ手がないため漏水・腐食がなく、耐震性・耐熱性にも優れている。

水道引込管の口径

中古住宅の購入を検討する際は、水道引込管の口径も確認しましょう。水道引込管の口径は、水道水の供給能力や使用可能な機器の種類を決定する主要な要因となります。とくに大家族や多くの水道機器を同時に使用する場合、適切な口径が必要です。かつては引込管の口径が13mmのものが主流でした。しかし現在は20mm(2世帯住宅は25mm)が一般的です。

現在キッチンや洗面台に採用されているシャワーや蛇口は節水型の仕様のものが多く、水道引込管の口径が小さいと水の流れが弱くなる恐れがあります。

後から口径を変更する場合、既存の配管や接続部分の交換が必要となり、高額な費用が発生します。このような追加の出費を避けるためにも、購入前の適切な口径の確認が不可欠です。

排水管(汚水配管)のチェックポイント

なぜ中古住宅を選ぶときに排水管(汚水配管)をチェックしなければいけないのでしょうか。それは主に以下の2つの理由が関係しているためです。

  • 排水処理方法の種類
  • 排水管の寿命と交換費用

ここからは排水管(汚水配管)のチェックが必要な理由を詳しく解説します。

排水処理方法の種類

中古住宅の排水システムをチェックする際は、どのような排水処理システムが採用されているかを確認し、過去のメンテナンス記録や近隣の排水状況についても調査することが大切です。

排水処理には主に「下水道」と「浄化槽」の2つの方法があります。

下水道処理は道の下に埋められた下水道管を利用し、生活排水を処理施設へ流すシステムです。これは一般的に都市部で見られ、排水は集中処理施設に送られ処理されます。下水システムの利点は、維持管理の手間が少なく、継続的なメンテナンスが公共の責任となることです。

対して浄化槽は、公共下水道が整備されていない地域で用いられる自己処理システムです。浄化槽では、排水がタンク内で微生物によって分解され、比較的綺麗な水として放出されます。このシステムは定期的なメンテナンスが必要で、浄化槽の寿命は大体20年程度とされていますが、これは使用状況やメンテナンスの頻度に大きく依存します。

浄化槽を選ぶ際は、定期的な清掃や点検が必要であることを理解しておく必要があります。また、古い浄化槽の場合、現行の法規制に準拠していない可能性があるため、法的な要件を確認し、必要に応じて浄化槽の入れ替えを検討するといいでしょう。

排水管の寿命と交換費用

排水管は日常生活の中で常に使用されるため、経年による劣化や損傷のリスクが高まります。排水管の劣化が進むと、漏水や排水不良といったトラブルの原因となり、住宅の快適性や衛生状態に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

排水管の寿命は材質や使用状況により異なりますが、一般的には約20〜25年とされています。また交換作業には、40万円から60万円の費用が必要なケースがあるため、事前に費用相場を知っておくことで、将来的な出費のリスクに備えることができるでしょう。

中古住宅の購入時に排水管の状態や寿命を正確に把握し、必要ならばその交換費用を考慮に入れて購入価格の交渉や予算計画を立てることで、安心して住宅を手に入れることができます。

ガス・電気のチェックポイント

上下水道のチェックが済んだら、ガスと電気もあわせて確認しましょう。

ガスの種類

まずはガスについて。家庭に供給されるガスの種類は主に「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類です。近年、プロパンガスはかなり減ってきたものの、都市部でもまだプロパンガスを使っているエリアはあります。中には、あえてプロパンガスを引いている中古住宅も見られます。購入を検討している中古住宅がプロパンガスを使っている場合は注意してください。5年や10年など、一定期間プロパンガスを利用する特約を結んでいるケースがあるからです。

もし、この契約期間中に中古住宅の売買が行われ、新しい所有者がプロパンガスから都市ガスに変えようとした場合、違約金が発生する可能性があります。都市ガスとプロパンガスでは使用するガス器具も異なりますから、この点にも注意が必要です。

電気は配線経路も重要

次は、電気について。まずは電気が問題なく使えるかどうかを確認してください。たとえば照明のスイッチは全部入れてみましょう。また、コンセントはスマートフォンの充電器などを持参してコンセントに差し込んで、電気が通っているか確認するといいでしょう。加えて現在の契約内容が何アンペアになっているか、ブレーカーの位置や予備の回路があるかの確認も忘れずに実施してください。

以前はエアコンやキッチン周りの配線が共通になっているものがほとんどでした。戸建、マンションにかかわらず、中古住宅では契約が30アンペアになっているケースも多くあり、使い方によってはすぐにブレーカーが落ちてしまうことになります。

最近は、キッチン周りでも電子レンジ用や冷蔵庫用などと配線が細かく分かれており、仮にブレーカーが落ちたとしても、その時に使っている家電が止まるだけで済みます。まずは配線の経路がどうなっているか、分電盤(いわゆるブレーカー)を確認しましょう。それぞれのブレーカー(子ブレーカー)に、「冷蔵庫」や「電子レンジ」などの名前が書かれていると、専用のブレーカー(専用回路)になっていることがわかりますが、名前が書かれていない場合は、ひとつひとつのブレーカーを上げ下げして、どの部屋や場所のコンセントとつながっているか、確認する必要があります。

電気容量の契約内容も忘れずに

家庭内で使用する電化製品は増加しており、物件によっては「オール電化」なんてことも。キッチン周りだけでもIHコンロ、冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースター、炊飯器、食器洗浄機など。書斎周りを考えても、デスクライトやパソコン、スマートフォンなど多くの電化製品が家庭内には溢れています。

中古住宅を購入してから電気容量の契約変更やブレーカーの取り替えを検討することになってしまうのも面倒です。家族構成やライフスタイルによって電化製品の数も種類も、使用する場所も大きく異なります。自らがどういった電源の使い方をしているのか、よく考えながら物件をチェックすることをおすすめします。リノベーション前提での購入であっても、もちろん必要なことです。

電気容量の契約変更は、電力会社に連絡すれば簡単にできます。ただし、電気の基本料金は容量ごとに決まっているため、容量を増やせば基本料金が上がることは覚えておいてください。電気容量は配線に使用している電線の太さによっても変わりますが、築年数の古い住宅であっても、30アンペアから60アンペア程度は難しい工事の必要なく電気容量を上げられます。ただし、古い中古マンションだと、マンション全体の電気容量が決まっている場合は、容量が上げられないこともあります。とくに、30アンペア程度のマンションは必ず電気容量の変更が可能か、管理会社や仲介事業者さんに確認されたほうがいいでしょう。

また、配線経路を変更できるのは資格保有者だけです。配線経路の変更を希望する場合は電気工事会社へ連絡の連絡が必要になることも知っておいてください。

電柱の位置は邪魔になっていないか

電気に関して意外とトラブルのもとになりがちな「電柱」の位置もチェックしておきましょう。いざ住んでみたあとに駐車時などに不都合を感じたり、リノベーションや建て替えの際に邪魔になってしまったり……といったことがよくあります。現地を見に行ったときに見落としがちなポイントですので、忘れずにチェックをしましょう

電力会社や電話会社と協議の上で電柱を移設することができるケースもありますが、移設にあたって制約があったり、コストがかかったりという可能性があります。

物件をチェックする際には、できるだけ具体的に日常生活をイメージして、不安な点をつぶしておくようにしましょう。

あわせて抑えておきたい!その他の中古住宅選びのポイント

ここからは中古住宅選びにおいて、配管や設備以外にも抑えておきたい以下の3つのポイントについて、詳しく解説します。いずれもチェックすることで対策が立てられたり購入を見直すことができたりするので、ぜひ参考にしてください。

雨漏り・シロアリ被害の有無

中古住宅を購入する際、とくに注意すべき点として「雨漏り・シロアリ被害の有無」のチェックが挙げられます。雨漏りは、屋根や壁、窓などの劣化や損傷から発生し、放置することで家の骨組みや内部の構造材が損傷する可能性があるためです。また内部に浸入した雨によって濡れた状態が続くと、カビや結露の原因となり、住宅の快適性や健康を損なうリスクも増えます。

一方のシロアリは木造住宅においてとくに懸念される害虫です。シロアリが家の構造材である木材を食べてしまい、被害が進むと建物の耐久性が低下する恐れがあります。早期に被害を発見し対策を行わなければ、大がかりな工事と修復費用が発生する可能性が高まります。

断熱・耐震性能

断熱性能は、住宅の快適性やエネルギー消費に大きな影響を与えます。良好な断熱性能を持つ住宅は、室内温度を一定に保ちやすく、冷暖房の使用を減少する効果があります。その結果、電気代の節約が可能です。そのため中古住宅を購入する際は、断熱性能をチェックしましょう。

また日本は地震が頻発する国であり、大きな地震が発生した際に建物が損傷を受けるリスクを低減させるためには、耐震性能が不可欠です。新しい建築基準法が施行される前に建てられた住宅は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があるため、中古住宅を購入する際にはとくに注意が必要です。

これらの性能を確認することで、将来的なリフォームや補強の必要性、コストを予測することができます。

断熱・耐震性能について自身で確認する場合は、不動産会社へ聞いてみたり、住宅性能評価書をみて確認するといいでしょう。住宅性能評価書には建物の耐震性能や断熱性能を表す、耐震等級・電熱等性能等級が記載されています。

耐震等級・断熱等性能等級について詳しく知りたい人は以下のコラムも合わせてチェックしてみてください。

【合わせて読みたい】

断熱等性能等級とは?「断熱性」を比較する基準と新設の等級6・7も解説

耐震等級3とは?どれくらいの地震に耐えられるの?耐震性アップのポイントも解説

周辺状況

中古住宅を購入する際は建物の内部だけでなく、その周辺状況も重要なチェックポイントです。周辺環境は生活の質に大きく影響するためです。たとえば静かな住環境や近隣との関係、交通アクセスの良さは、日常生活の利便性や快適性に寄与するでしょう。

また公園や学校、病院などの公共施設の有無、商業施設やレジャー施設までの距離も家族構成や生活スタイルによっては大切なポイントとなります。さらに将来的な地域の開発計画や治安の状況も、物件価値や生活の安心感に関わる要因です。

これらの周辺状況を事前に確認することで、住む人のライフスタイルや価値観に合った最適な中古住宅を選ぶ手助けとなります。

中古住宅選びはホームインスペクションの活用を

中古住宅の選び方にはいくつかのポイントがあることを、本記事で解説しました。中古とはいえ住宅の購入は人生において大きな買い物のひとつです。後悔せずに長く快適な暮らしをするためには、事前にしっかりとチェックを行い、建物の現状を理解したうえで購入を検討、あるいは決断することが必要です。

もし個人でチェックしきれない、判断が難しい、といった場合は、住宅の専門家であるホームインスペクターによるホームインスペクションを検討するといいでしょう。

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