老後も安心して暮らせるリフォームのポイントとは!

  • Update: 2020-01-13
老後も安心して暮らせるリフォームのポイントとは!

住み慣れた自宅であっても、年を重ねるにつれて不便を感じることも多くなり、また場合によっては危険が生じることもあります。実際に高齢者による家庭内の事故は非常に多く、ときには事故の影響で生活に支障が生じるケースもあるため注意が必要です。
高齢者の家庭内事故を防ぐには適切な対策が必要で、とくに環境に合わせて行うリフォームは大きな効果を発揮します。
今回は老後においても自宅で安心して暮らせるリフォームのポイントについて解説いたします。

高齢者の家庭内事故の傾向について

厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者の不慮の事故による死亡者数について詳しいデータがあります。
死因で多いのは「誤嚥等の不慮の窒息」「転倒・転落」「不慮の溺死及び溺水」です。
これら3つの死因が全体のおよそ7割程度を占め、それぞれが「交通事故」よりも多いことが大きな特徴です。
また東京消防庁の「救急搬送データ」によると、高齢者によって救急要請された事故の種別は「転倒・転落」が最も多く全体のおよそ8割を占めています。
さらに発生場所別に見た高齢者の救急搬送者数によると、「転倒・転落」が発生した場所のおよそ6割が「住宅等居住場所」となっています。
これらのデータから、高齢者にとって住み慣れた住居であっても、環境によっては安全とはいえないことがわかります。
高齢者が安心して生活を送るためにも、住居内に危険が潜んでいる場合は適切な対策をとる必要があるでしょう。

高齢者の家庭内事故を防止するバリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームとは、高齢者にとって住居内の危険な状態を排除し、快適な生活をサポートするためのリフォームのことをいいます。
バリアフリーリフォームにはどのような工事があるのかご紹介いたします。

●段差の解消


高齢者にとって動線上に段差があると、転倒や転落など事故の原因になることがあるため注意が必要です。
敷居や沓摺など出入り口の段差はつまずきやすく、とくにトイレや浴室、脱衣所など水回り周辺では、利用回数も多くなるためリスクも高まる傾向にあります。
おもな段差解消としては、敷居や沓摺を撤去し必要に応じて調整材を埋め込み高さを合わせる工事や、床を増し貼りして高さを合わせる工事などがあります。
段差の解消はおもに高齢者の動線を優先的に行うとよいでしょう。

●手すりの設置


手すりは、玄関や階段、廊下などを移動するときの補助や、浴室やトイレで座り立ちの補助、そして転倒の防止などの役割があります。
手すりには使用する人の体重がかかるため、脱落することがないよう必ず下地補強を行ったうえで設置することが重要です。
また現状は手すりを設置しない場合も、将来的に必要となる可能性がある場所には、新築時やリフォーム時にあらかじめ下地補強をしておくと、実際の設置時に作業が楽になります。

●出入り口のリフォーム


体力の衰えのある高齢者にとって、出入り口の建具は開き戸よりも引き戸のほうが扱いやすく便利です。
とくに車いすでの移動が必要な場合は、引き戸で間口が広いことが重要です。
上吊りタイプの引き戸は敷居がなく段差が生じることもないため、つまずいて転倒するリスクが軽減できます。
ただし気密性では引き戸よりも開き戸のほうが高くなるため、室内の環境や目的を考慮して検討する必要があるでしょう。

●浴室、トイレのリフォーム


浴室やトイレなどは、使用時に介助者が必要となる場合、出入り口の間口や室内スペースに十分な広さが必要です。
また室内では上下と前後の動きがあることから、手すりは縦方向と横方向の両方の設置を検討する必要があります。
浴室は、滑りにくい床にすることや、浴槽をまたいで出入りするときの負担を軽減するために高さを検討することが重要です。
さらにヒートショック対策として、窓の断熱強化や浴室暖房乾燥機の設置なども効果的です。

介護リフォームの助成金について

介護が必要な家族がいる場合、一定の要件を満たすことで助成金を利用したバリアフリーリフォームを行うことが可能です。
その助成金とは、介護保険の「高齢者住宅改修費用助成制度」のことで、概要は以下の通りになります。

●補助金受給の対象

  • 介護保険の要支援もしくは要介護の認定を受けていること
  • リフォームを行う住宅で認定を受けた被保険者が居住していること

●補助金の支給額

  • 最大18万円(工事費用20万円の9割までが上限)

●対象となる工事内容

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止および移動を円滑化するための床材の変更
  • 引き戸などへの取り替え
  • 洋式便器などへの取り替え
  • 上記工事に付帯して必要となるリフォーム工事

ただし、自治体によっては補助金制度の内容が異なる場合があるため、利用を検討する際は自治体に問い合わせてみてください。

リフォーム前には住宅診断を

自宅のリフォームを検討するときには、同時にホームインスペクション(住宅診断)の実施をおすすめいたします。
高齢者家族がいる住宅においてバリアフリーリフォームを実施することは、これからの生活の質を高める目的として非常に効果的です。
ただしリフォームには一定のリスクが伴う場合があります。
例えば、見積書に提示する内容で、工事範囲はどこまで含まれるのかわかりにくいという点です。
見た目を重視して表面上はきれいにリフォームされていても、本当に重要な隠れた部分については、劣化が深刻なまま隠ぺいされることはよくあるケースです。
その結果として建物の寿命に影響を与えるようでは本末転倒といえるでしょう。
また長く暮らす家であれば、バリアフリー化と同時に建物のコンディションを把握しておくこともよい機会です。

不具合箇所を洗い出すことで建物の劣化状況を把握し、リフォーム工事で修繕して劣化の進行を食い止めることが可能です。リフォームを検討する際、気になる箇所を洗い出し、本当に修繕が必要かどうかを判断していくためにもまずはご相談ください。