購入前に知りたい!二世帯住宅の節税効果

  • Update: 2019-10-02
購入前に知りたい!二世帯住宅の節税効果

ライフステージの変化の節目で、これからの住まい方を考える時。家庭ごとに生活スタイルは異なるため、それぞれに適した住環境を整えることが大切ではないでしょうか。住まいの選択肢も多様化する昨今、著しく高齢化が進む社会的背景から二世帯住宅が注目を浴びています。

二世帯住宅とは「親世帯と子世帯が同じ住空間で生活を送る住まい形態」。子育てや介護など見守りが必要な家庭にとって、相互にサポートがしやすいという大きなメリットがあります。メリットがあればもちろんデメリットもあるため、双方から検討して選択するのが望ましいでしょう。

二世帯住宅は多くの経済的メリットを得られますが節税効果が高いというのをご存じでしょうか。二世帯住宅の節税効果について紹介します。

新築一戸建て引き渡し前チェック(内覧会立会い・同行)

二世帯住宅のメリットは?

17975458a1ef4d5f7d0adff88fd45509_m

二世帯でお互いにサポートできる

子育てを行う世帯は親世帯に協力をお願いすることができ、親世帯で介護が必要な場合は子世帯のサポート体制を構築できます。子育て、介護以外にも、料理や掃除などの家事、旅行中の留守番、体調を崩したときの看病など、お互いに助けが必要な時に協力し合えます。

身内が近くにいる安心感

親世帯は、高齢化による肉体的な衰えから精神的に不安になることもあるでしょう。IT化が進む昨今、パソコン、スマートフォン、最新家電などの扱いに困る時、子世帯が近くにいることでサポートできます。また高齢者を狙った詐欺の魔の手からも守りやすいでしょう。

高齢者の家庭内事故は非常に多く、事故の予防とともに見守りの体制をつくりやすいのは二世帯住宅ならでは。万が一の事故に備えた素早い対応は、大きな安心感につながります。

家計が経済的に

住宅の購入は一棟だけとなるため、土地・建物ともに取得費用を抑えることができ、また共同で出資すれば負担を大きく削減。食事を同じくすれば食材を減らすことができ、お風呂を共有すれば水道代や電気代の節約になるなど、毎月発生する費用が軽減できます。

また子育てが必要な家庭は共働きが難しくなることもありますが、親世帯に協力してもらうことによってフルタイムでの高収入を得やすくなるでしょう。

さらに二世帯住宅の新築時には補助金の利用が可能になることや、取得後の税金対策として有利になることなど、さまざまな経済的メリットがあります。

将来的な賃料収入の確保にもつながる

もし将来的に親世帯が亡くなってしまった後、その部分を第三者に貸すことも可能です。将来的な賃料収入が見込める点も二世帯住宅の大きなメリットと言えるでしょう。ただ、借り手が現れやすいのは、後述する「完全分離型」の二世帯住宅であり、「完全同居型」や「部分共有型」では借り手が現れにくい傾向なので、二世帯住宅の建築時には「将来の賃貸収入を見込む」場合には留意しましょう。

二世帯住宅のデメリットは?

プライバシーが確保しづらい

共有スペースが多くなるほど、プライバシーの確保が難しくなります。間取りなどを工夫することでお互いに配慮することが必要となるケースもあるでしょう。

生活スタイルや世代の違いによるストレス

料理や掃除、洗濯などの家事における方法の違いや、活動する時間帯の違いによる音の問題などがストレスの要因となる可能性も。また子育て、子供の教育、社会生活、近隣との付き合いなど、世代間のギャップで意見が合わないことによるトラブルもあり得ます。

売却に時間がかかる可能性

二世帯住宅は一般的な住宅と比べ強い個性(特徴)があるため、一般的な買い手のニーズと合いづらく、売却が長期化することもあります。

二世帯住宅の間取りタイプは3種類

30957a0b62e4f34a34938e726ea0e12d_m

二世帯住宅はおもに3つの間取りタイプに分類することができます。

完全同居型

玄関やリビング、風呂、キッチンなどすべてを完全に共有する間取りです。

部分共有型

玄関やリビング、風呂、キッチンなどの一部を共有し、寝室などのプライベート空間を別とする間取りです。

完全分離型

玄関やリビング、風呂、キッチンなどすべてを完全に分離する間取りです。

プライバシーか建築コストか?

「プライバシーの確保」という観点を重視するなら「完全分離型」、建築コストを抑えるなら「完全同居型」が適しています。また将来の賃貸収入や売却を見据える場合も「完全分離型」の方が借り手や買い手が見つかりやすい傾向です。

メリットとデメリットを考慮したうえで、各家庭のスタイルに適したタイプを選択する

二世帯住宅の登記方法

住宅を取得すると所有権の登記が必要となりますが、二世帯住宅の場合は3種類の登記方法から選択することになります。

単独登記

二世帯住宅を1戸としてみなします。親か子のうち、どちらかの単独名義で登記を行う方法です。この方法は、取得費用を共同で負担している場合には注意が必要です。

子が名義人とするケースは親から子への贈与と見なされ贈与税が発生する可能性があり、逆のケースでは将来的に子へ相続する際に相続税が発生する可能性があります。

共有登記

二世帯住宅を1戸としてみなします。親と子が共有名義で登記を行う方法です。一般的に出資比率に応じて共有割合を決定することになるため、贈与税が発生することはありません。

 区分登記

二世帯住宅を2戸としてみなします。親と子がそれぞれの名義で登記を行う方法です。この方法が適用されるのは「完全分離型」の間取りのみで、完全同居型と部分共有型には適用されないため注意が必要です。

二世帯住宅の相続税対策

4c6e05ffddc630206aeca71490b99108_m

二世帯住宅は相続税対策としてたいへん効果的です。その対策とは、二世帯住宅という住居形態であれば認定されやすい「小規模宅地の特例」という制度を利用することにあります。「小規模宅地の特例」とは、相続した住むための宅地に対する相続税の負担を軽減するための特例です。

相続税の発生により、場合によっては宅地を売却しないと納税ができない事態に陥り、その後の生活にも支障をきたす可能性がありますが、そのような状況を防ぐための措置となります。これは、相続発生時に一定の要件を満たすことで、取得する宅地の価格を最大80%まで減額して評価するという制度です。
評価額に応じて相続税は決定されるわけですが、適用されるかどうかによって税額は大きく変わってくることになります。

特例の認定に必要となる要件の重要なポイントについて解説いたします。

1.被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族

相続人が相続発生以前から被相続人名義の建物において生活を共にしていた親族であるということになります。

2.その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

相続が発生して申告期限となる10カ月の間は相続人が所有し居住しておく必要があるという内容です。

二世帯住宅が相続税対策で有利な理由

二世帯住宅が相続税対策に有利であるという点は、生活を共にしていた親族であることがまず認められるため、1の要件を満たすことができることにあります。

そのうえで相続発生から10カ月を継続利用することによって認定されやすくなるというわけです。

ただし、登記の種類を区分登記としている場合は、1の要件を満たさないと認定されるため注意が必要です。

そうなると「小規模宅地の特例」の適用とはならず節税効果は大きく薄まるため、相続税対策として二世帯住宅を検討するのであれば区分登記は避ける必要があります。

二世帯住宅の節税効果は?

二世帯住宅は、「固定資産税」と「不動産取得税」についても節税の効果があります。

固定資産税

土地

固定資産税は固定資産税評価額に税率をかけて算出されますが、住宅用地における200m2以下の部分は「小規模住宅用地」とみなされ、固定資産税評価額が1/6に軽減されます。
二世帯住宅で登記の種類を区分登記としている場合、2戸とみなされ「小規模住宅用地」による軽減措置を2戸分受けることが可能となります。

建物

新築住宅であれば最初の3年間、床面積120m2分までの固定資産税が1/2となる軽減措置がありますが、区分登記の場合は2戸分となり240m2までが対象となります。
なお長期優良住宅で新築した場合は、最初の3年間という期間が5年間に延長して優遇措置を受けることができます。

不動産取得税

不動産取得税は、固定資産税評価額に税率をかけて算出されますが、一定の要件を満たした場合、固定資産税評価額から1,200万円の控除が適用されます。
二世帯住宅で登記の種類を区分登記としている場合、2戸とみなされるため固定資産税評価額から2,400万円の控除が可能となります。

賢く最適な二世帯住宅を建てるには

二世帯住宅にも間取りタイプや登記方法などの選択肢があり、出資比率や住宅ローンの名義、あるいは税金対策を重要視するのかといった内容を考慮して検討することになります。

メリットやデメリットも含めて検討を行い、建物の専門家に相談して自分たちに最も適したものにしましょう。