新築工事チェック(建築途中検査)同行記:小西 昌太編

  • Update: 2016-08-29
新築工事チェック(建築途中検査)同行記:小西 昌太編

新築工事チェック(建築途中検査)の調査に同行してきました。

調査の担当者は、この方↓↓↓↓↓

konishi

小西 昌太さん
担当:小西 昌太さんのプロフィールはこちら

今回、伺ったのは「配筋検査」です。
配筋検査では、基礎部分のコンクリートを打つ前に、鉄筋が正確に施工されているかをチェックします。基礎は建物を支えるための構造上主要な部分。コンクリートを打った後では見えなくなってしまいますので、その前にしっかりと確認することが重要です。

現場では、建物の位置が決まり、外周の基礎の型枠が組まれ、床部分、基礎立ち上がり部分に鉄筋が配置されていました。
調査開始の時間前に現場に到着し、現場監督さんや職人さんにご挨拶。
今日の調査内容をお伝えし、調査スタートです。

まずは、基礎の形状や仕様をチェック!

基礎
まずは、基礎の形状や仕様をチェック。
一般的に基礎の仕様は、布基礎、べた基礎、基礎ぐいなどに分かれます。これらは建物を支える地盤の強さがどのくらいか(地耐力)によって決められていて、建物ごとに検討しなければなりません。

現場検査では、基本的なところの形状・仕様の基礎であるかを確認して、より専門的な検査に入ります。
建物は沢山の材料から出来ていますが、組み立てた際の全体の様子も重要ということですね!

コンクリートを打つ前に、配筋位置や間隔を確認

基礎立ち上がり
次に、建物の基礎立ち上がり部分の配筋位置が間違いないか調べていきます。
基礎立ち上がりとは、建物の土台を支えるコンクリートの部分です。基本的には基礎立ち上がりの上には柱、壁がきますので、この配置が間違ってしまうと間取り自体が計画とずれてしまい構造にも影響が出てしまいます。

基礎立ち上がり部分の配筋間隔も計測します。
構造図面の通りの間隔になっているか、鉄筋の径(太さ)は間違っていないか、しっかり固定されているか確認していきます。コンクリートを流し込む際に力が加わりずれてしまうと、鉄筋の位置が変わり基礎の耐久性が劣ってしまうことがあります。建物の足となる部分ですので確実な施工が求められます。

同様に平面の配筋も鉄筋の径と間隔を確認します。
今回の物件は場所によって2種類の配筋間隔となっていました。図面に記載された通りの間隔で鉄筋が配置されているかスケールを使って計測し、写真を撮って記録に残します。
間違いがある場合は、現場監督に報告し是正する事となりますが、今回の物件では平面の配筋も間違いなく施工されていました。

配筋の継手を確認
もう一つ重要な確認事項があります。それは鉄筋と鉄筋をつなぐ部分の長さです。
建物の端から端まで1本の鉄筋で配筋できれば良いですが、たいていの場合、途中で鉄筋をつなぐこととなります。その際に、2本の鉄筋を重ねることでつなぐ役割をしています。
その重なる長さのことを「継手長さ」と言います。鉄筋の径によって必要な「継手長さ」は異なりますが、図面の通りの長さが確保できているか確認します。
この「継手長さ」がしっかりと確保できていないと基礎の強度が低下してしまいますので、こちらも重要なチェック箇所です。

コンクリートの強度を左右する「かぶり厚さ」

コンクリートのかぶり厚さ
コンクリートの厚みはコンクリートの強度、耐久性能上、とても重要です。
鉄筋表面からコンクリートの表面までの厚みを「かぶり厚さ」と言います。「かぶり厚さ」が確保できないと、鉄筋を被覆するコンクリートが薄くなります。ひび割れが発生し易くなり、そこから水が浸入して鉄筋がさび、基礎の耐久性が低下してしまいます。そのため、型枠と鉄筋の間の距離がしっかりと確保されているか、コンクリートが打たれる前の配筋検査の際に十分に確認する必要があります。

構造図面
配筋検査の現場では、構造図面を確認しながらの調査になります。箇所によって、配筋方法が異なるので、逐一図面を確認する事が大切になります。小西さんも、検査に入る前に、構造図をしっかりと読み込み、重要な数値には目立つようにマーカーにて色を付けるなどして、検査がスムーズに進むよう準備をしていました。

調査も終わり指摘事項をもれなく現場監督さんへ伝え、今日の配筋検査は終了です。

小西さんは現場でのコミュニケーションをとても大切にされていました。プロの目線でチェックさせていただき、関係者の皆さんと現場の状況を共有することが良い住宅づくりに繋がると考えています。
指摘した箇所で、すぐ直せる場合はその場で是正してもらい、すぐには直せない箇所があった場合は、修正後にご報告をお願いしています。

この後、検査報告書を作成し、買主さま、建て主さまが現場の工事の状況を理解・把握できるようにご報告させていただき、今回の検査は終了です。

この日は8月の真夏日、配筋検査は日陰のない現場で行いますので、炎天下での調査になります。インスペクターも暑さ対策は各々でしておりますが、ご依頼者様もお立会いの際は日傘などお持ちいただくと良いと思います。