東日本大震災を受けて、住宅選びにあたってそれまで人気が高かった「タワーマンション」や「オール電化住宅」などのキーワードよりも、土地の高低差・地盤・ハザードマップ・建物の耐震性・コミュニティーなどが注目されています。
さくら事務所へ寄せられるご相談からも、地震などの自然災害災害が多い国である日本で将来的に不安のない家に住みたいといった考える方が増えてきているように感じます。
高層マンションでエレベーターが停止・・・
タワーマンションは立地もよく、建物内には何でも揃っていて便利で快適な生活を送ることができます。そして、なんといっても高層階は眺めがよく、ステイタス感があります。
しかし、東日本大震災で住民が何よりも困ったのは、停電でエレベーターが止まったことです。
エレベーターが動かなくなると、高層階になればなるほど身動きが取れなくなってしまい、階段で昇り降りができなければ自らの移動手段を失い、自宅に留まるとしても生活に支障をきたします。これが「高層難民」と言われるものです。
最近では、30階前後のマンションも少なくはなく、エレベーターが停まれば外出するときは階段を使って下に降りるしかありません。そのため、特に高齢者は外に出ることが困難になってしまいます。
そして、水や食料の確保がままならないときは、自宅に損傷はなくても近くの避難所を利用せざるを得なくなることも考えられるでしょう。
もし止まったらどうすればいいの?
そもそもエレベーターというのは、運転中に一定値を超えた異常な振動を感知したり、緊急時地震速報を受信したりすると最寄階に速やかに非常停止し、天井の非常灯が点灯し、インターホンで外部と連絡が取れるように設計されています。
一旦停まると、エレベーターを復旧させるには、安全確認のために専門員による復旧・点検作業が必要となり、地震時に同時多発するときは、復旧まで数時間、数日動かなくなることも覚悟した方がよいでしょう。
ただ、高層階の住民は地震で大規模停電が起きた場合、即座に移動手段が全くなくなるわけではありません。
建築基準法では、15階建て以上のマンションに非常用エレベーターの設置を義務付けており、非常時でも一定時間は救助や避難などのために非常用エレベーターが利用できるだけの電源装置と燃料が確保されています。
最新の建築技術でつくられたタワーマンションは確かに安全ではありますが、長時間エレベーターが復旧しない場合は別です。特に高齢者世帯や小さな子どもがいる世帯にはそれなりの覚悟が必要になるでしょう。
最近のタワーマンションには高層難民対策として途中階に防災備蓄倉庫を設ける物件も出てきています。高齢者世帯や小さい子どものいる世帯は確認しておきましょう!
個人で1週間分の水と食料を備蓄しておくことも大切です。
自分でできる対策はもちろんのこと、自分が住んでいる場所をもっと知ることが重要になります。災害が起きてからでは遅いので、早め早めの対策を心がけましょう!