築30年の中古マンションから学ぶチェックポイント

  • Update: 2015-03-04
築30年の中古マンションから学ぶチェックポイント
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さくら事務所 編集部

中古マンションを購入する際、「部屋(住戸)の中はリフォームでキレイになっているけど、共用部分はどこを見ていいかわからない…」と心配されている方も多いのではないでしょうか。

共用部分は地下から屋上まで広範囲ですから、購入前にすべてを調べ切ることははっきり言って難しいです。しかし、住戸を見に行く導線上から、管理状態を多少読み取ることができます。

ここでは、中古マンションホームインスペクション(住宅診断)で伺ったマンションを例に、簡単にできるチェックポイントをご紹介します。

都心にある築30年の分譲マンション

大使館などにもほど近い、緑に囲まれた閑静な住宅街にあるマンション。

廊下が屋内にあるタイプで、非常階段に出るところに鉄の扉がついていましたが、なぜか開きっ放しです。

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本来、マンションの玄関ドアや非常用の扉類は、法律により開きっ放しにならないよう作られているはずです。

近づいてみたところ、枠が錆びて膨張し、ドアが枠にこすれて閉まらなくなっていました。

0223②

ここまで錆が膨らむには時間がかかりますから、随分前から鉄部の塗装・錆止め施工をしていないようです。

せっかくなので、そのまま外階段を下りようと思ったのですが、ちょっと怖かったので、外から回って見上げてみました。

すると、鉄製の階段に穴が開いていました。
やはり鉄が錆びて起きた事象です。

無0223③

これらの不具合は、部分的に交換が必要だとしてもすべて修繕が可能で、直せば生活上の問題はありません。

しかし、管理会社に状況を確認したところ、管理組合で修繕を予定していないということでした。

<チェックポイント>
住民が毎日通らないところに不具合が放置されていることがあります。
エレベーターだけではなく、共用階段なども実際に使用してみましょう。

共用部分と管理費・修繕積立金は一緒にチェック

管理会社に委託している業務に、共用部分の目視点検も入っているようですが、これについて理事会で話し合われた形跡はなく、管理組合と管理会社のコミュニケーションが活発ではなさそうな様子でした。

そこで、1住戸あたりの管理費額を聞いたところ、管理会社から受けているサービス(管理員の勤務時間や設備類の点検等)には見合わない高い金額でした。

対して、月々の修繕積立金額は5,000円にも満たしていません(一般に、築1年目のマンションでも戸あたり平均6,000円以上は必要とされています)。

管理組合の理事はたまに集まっているらしいのですが、理事を引き受ける人がごくわずかのため、いつも決まったメンバーが管理会社の指示に従い、議題をこなしているのだそうです。

その結果、30年の間に管理費は管理会社の提案通りに値上がりし、修繕積立金は誰も値上げを言い出さなかったことから、上記のような金額になっていました。

<チェックポイント>
各住戸は所有者がリフォームなどでキレイに維持できたとしても、共用部分は管理組合のお金で修繕しなければ、経年劣化でどんどん傷んでいきます。

修繕にかかるお金を計画的に貯蓄しているかどうか、長期修繕計画の有無やその内容も併せて確認しておきましょう。

 部分的に不具合があるから悪いわけではない

マンションは大きな建物ですから、築年数が経過すれば、それなりに傷んだり故障が発生したりします。

大事なことは、不具合の有無を管理組合が把握していて、その修繕に向けて活動しているかどうかです。

気になる不具合を見つけたら、管理組合(代理で管理会社)に直す予定があるか、その資金があるかどうかを確認してみましょう。