長期優良住宅の維持管理チェックポイント

  • Update: 2017-11-01
長期優良住宅の維持管理チェックポイント

長期優良住宅を維持していく大事なポイントはここ!

認定を受けた後、やるべきこと 「点検、補修、記録」

長期優良住宅は認定を受けたらそれで終わりではありません。

定期的に点検を行い、その都度状況に合わせた補修を行う義務があります。さらに言うと定期的な点検やそれに伴う補修工事を行った場合には、維持管理状況をなんらかの形で記録しておく、ということが法律により義務付けられています。

※場合によっては所管行政庁より住まいの工事内容や維持保全の状況について報告を求められることがあります調査

 

【法律で決まっていること】
①点検が必要な部分
 ○構造耐力上主要な部分(基礎、土台、壁、柱、小屋組、梁、筋かい等)
 ○雨水の侵入を防止する部分(屋根、外壁及びそれらに設ける開口部)
 ○給水設備・排水設備(給水又は排水の配管設備)
②点検期間は、建築後、30年以上行う
③点検頻度は、少なくとも 10 年毎に行う
④点検結果を踏まえ、必要に応じて修繕等を行う
⑤地震及び台風時に臨時点検が必要
⑥住宅の劣化状況に応じて、維持保全計画の見直しが必要。

維持保全とはつまり、点検、補修です。定期的に家のメンテナンスが必要ということです。

また、その状況もきちんと記録し、保管することも必要になってきます。

※場合によって所管行政庁から報告を求められることがあります。その場合は、記録や保存している資料を報告しなければなりません。

長期優良住宅の認定を受ける際に、「長期優良住宅建築等計画書」を作成しているかと思います。こちらの計画に基づき住宅の維持保全(点検・補修)を行わなければいけないのです。

 

◆点検、補修を怠ると罰金!?

もしこの維持保全活動を怠ると、「長期優良住宅」認定が取り消されたり補助金返還を求められる可能性があります。また報告しなかったり、虚偽の報告をした場合には30万円以下の罰金になることがあります。

 

◆ではどうすればいいの?どこを点検すればいいの?ポイント教えます。

ではどのようなことをすればよいのか?法律では先ほど述べたように住宅の部分又は設備について、点検を行い、必要に応じて補修を行うこととしています。でもどこを点検すればいいの?とお思いの方も多くいらっしゃると思います。そこで、さくら事務所で自宅一戸建て点検ホームインスペクション(住宅診断)を行うホームインスペクターが長期優良住宅の点検チェックポイントをまとめました。

 

b_simple_5_0M         自宅の点検なら第三者による住宅診断がおススメ

         さくら事務所「自宅一戸建て点検インスペクション」

b_simple_5_0M

ポイント1 屋根
紫外線や風雨などで最も過酷な環境にさらされている屋根。もし雨漏りしてしまうと建物は深刻なダメージを受けます。屋根の瓦やスレートのずれ、ひび割れ、バルコニー排水溝のつまりなど雨が入ってきそうな部分を丁寧に観察することが大切です。
 ・瓦やスレートのヒビやズレ
 ・平らな屋根(陸屋根)やバルコニー表面のヒビ
 ・平らな屋根(陸屋根)やバルコニー排水口のつまり など排水口

ポイント2 床下・基礎
建物を支える要となる部分です。普段目にしないので不具合があっても気づきにくい場所で、気づいたときには手遅れになることも…。くまなく点検するには床下に進入する必要があります。ちょっとご心配な方はこちらをクリック


 ・床下の湿気
 ・シロアリ(蟻道)の有無
 ・基礎の有害なヒビや錆び汁
 ・配管からの漏水 など                     床下染み

 

ポイント3 天井裏
雨漏り跡など大きな不具合が見つかりやすい部分。点検せずに放置してしまうと大きな問題に直結します。高くて暗い場所をチェックするので、安全に配慮しつつ丁寧に観察することが大切です。床下と同じく、くまなく観察するには屋根裏へ進入することが大切です。ちょっとご心配な方はこちらをクリック
 ・雨漏り跡
 ・金物の緩み
 ・梁など構造材のヒビ割れ
 ・天井などの染み(室内から)

                               屋根裏屋根裏染み

さくら事務所では、床下内部を点検する際は『屋根裏&床下に特化!【もぐるんです】』などのサービスもあります。ご検討されてみてはいかがでしょうか。
(※首都圏のみのサービスです)

ポイント4 外壁

屋根と同じく常に紫外線や風雨にさらされているうえに、窓や配管などたくさんの穴が開いています。雨漏りを防ぐためにとても重要な部分が多く、劣化などの不具合はしっかりチェックをしておきたいポイントです。
 ・外壁のヒビ割れや変色
 ・シーリング(ゴムのような止水材)のヒビ割れ
 ・カビやコケの付着 など                  外壁ひび割れ

ポイント5 設備
建物にはとても多くの設備機器が使われています。例えば換気扇は、フィルターの目詰まりやダクトの接続部が緩むと能力が落ちてしまいます。洗面台の配管から少しずつ水漏れしていても、日常生活の中では気づかないケースもあります。実際に動かしたり水を流したりしながら、しっかりと点検をしましょう。
 ・換気設備の作動状況
 ・水回り設備の異臭や漏水 など

          ダクト

オーバーフロー

さらにチェックしておきたいポイント
5つのポイントに加えて、建物の傾き・含水率を計測するとより安心です。建物の傾きはオートレーザーという専門機材を使って計測します。地盤沈下や構造上の不具合など、大きな問題の前兆を知ることができます。含水率は含水率計という専門機材を使って計測します。床下や屋根裏の木材がどれくらい湿っているかを確認し、湿気が溜まっていないかや、見えない部分からの水の侵入などを予測することができます。
 ・建物の傾き(オートレーザーを使用)
 ・木材の含水率(含水率計を使用)              
オートレーザー含水計

◆誰が点検するの?

誰がすべきか規定はありません。点検は所有者が行ってもいいことになっています。ですが、床下や屋根裏など、専門知識なしでは状態を判断しづらいものも多く、記録作成の手間からも住宅建築に詳しい専門家に依頼する方が多いようです。建設した工務店やハウスメーカーなどに依頼する選択肢もありますが、仮に建設時のミスなどが見つかったとき、報告せず隠されてしまうのではないか?と心配され、客観的な立場でのチェックを希望する方もいます。この場合は住宅の調査・診断(ホームインスペクション)を専門で行っている会社に依頼すると、中立的な立場での点検を行ってもらえます。さくら事務所でご自宅の点検をお受けしたお宅では、思いがけず屋根裏の雨漏りや浴室床下の水漏れなどを発見したこともあり、定期的な点検は住まいの耐久性を下げないためにも不可欠です。

なお、第三者のホームインスペクション会社にも、点検やアドバイスの仕方、報告書が提出されるかなどは会社により違います。点検を依頼する前に、見つかった不具合について補修方法をアドバイスしてくれるのか、受領する報告書が長期優良住宅の記録として活用できるのかをあらかじめ問い合わせておきましょう。


いかがでしたか?長期優良住宅の認定は税制の優遇や資産価値としてのメリットはありますが、認定を取り消されないためにはきちんと点検、補修と維持保全活動を行っていかねばならず、第三者的な立場からの視点で点検していくことが大事です。しっかりとメンテナンスを行い、長く受け継がれるお住まいにしていきましょう!