マンションの高層階、安全に避難するための5つのポイント

  • Update: 2017-06-20
マンションの高層階、安全に避難するための5つのポイント

最近ではもうあたりまえになったタワーマンション。一方で、心配なのが「火災」などの防災対策です。2017614日未明にロンドン西部の高層住宅で起きた火災の様子に、ご自身のお住まいが大丈夫か不安に思われている方も多いのではと思います。
特にはしご車が届かないような高層建築(31mを超える)でもし火災が起きたら、どうすればいいのでしょうか? 大切な命を守るために、確認しておきたい5つのポイントを解説していきます。

中古マンションホームインスペクション

ポイント1.避難階段の位置の確認

火災の避難は「階段」が原則です。一般のエレベーターは火災時には止まってしまいますので、使わないようにしましょう。高層マンションには「特別避難階段」が備え付けられています。これは、煙が入らないように隔離された構造になっている階段です。この位置をしっかりと確認しておきましょう。

ポイント2.避難ハッチ・避難はしごの位置の確認

避難設備の中で、最も一般的なのは避難ハッチ。各住戸に設置されていることはまれで、一般的には両端の住戸のバルコニーに設置されています。場所を確認しておきましょう。

両端以外の住戸に住んでいる場合、バルコニーの隔て板を破って、避難ハッチのある住戸まで逃げます。避難の妨げになりますので、板の前に物を置かないようにしましょう。

 マンション隔て板

それに、この隔て板はどのくらいの力で破壊できるかご存知ですか? そして、実際に避難ハッチの蓋を開けて上から下を覗いてみると考えた以上に怖いもの。

避難器具は日常的に触れる機会がないため、実は使い方が分かっていないという方が多いでしょう。いざという時に冷静に的確な操作ができるように準備しておきたいものです。

ポイント3.非常用エレベーターは原則として避難には使えない

建築基準法では、はしご車が届かないような高層建築(31mを超える)には「非常用エレベーター」の設置が義務づけられています。非常用エレベーターとは、非常時に消防隊員が消火および救出作業のために使用するためのエレベーターです。

ここで注意したいのが、非常用エレベーターは、一般居住者が避難のために自由に操作できるものではないということ。あくまでも消防隊の救助活動用のものです。

ただし、近年ではマンション居住者の高齢化を受けて、非常エレベーターの避難活用も始まっています。

2013年消防庁は「高層建築物等における歩行困難者等に係る避難安全対策」で、非常用エレベーターを避難用にも使えるように指導し始めました。ただし、非常用エレベーターを避難用に使うには、「一時避難エリア(※)」の設置といった一定の条件を満たす必要があります。しかしこうした措置が施されたマンションはまだまだごく少数に留まるのが現実です。

(※一時避難エリア……階段での避難が困難な方が消防隊の救助を待つために、各階に設けられるスペース。)

ポイント4.設備を実際に使ってみましょう

消防設備の設置場所や使い方の確認は必須。しかし、実はそれだけでは不十分。実際の避難を想定した訓練ができればより安心です。

通常、マンションでは年に1回くらい消防訓練とを実施しています。していないところがあれば、ぜひ管理組合で提案しましょう。通常であれば消火器の使い方や、消防署の方のお話で終わってしまいます。ですがせっかくの機会ですので、このときに避難器具の使い方も一緒に確認してみてはどうでしょう。

もちろん、避難器具が設置してあるお部屋の方の了解を取る必要があります。災害時にどれだけ被害を防げるかは、非常時の各々の行動に大きく依存するもの。マンションのように多くの人が集って住んでいる場所では、その連携と相互の助け合いが一人の命を救うこともあります。訓練もぜひ互いに協力して行いたいものです。

ポイント5. 防火区画の不具合の確認

防火の基本となるのが、防火区画です。火災時にこの防火区画がきちんと確保されていないと、複数の部屋に延焼してしまう恐れがあります。

最近さくら事務所でアフターサービス事前点検を実施した築浅のマンションでも防火区画の施工の不具合が複数判明しております。

また、築年数が経過したマンションでも、法定で、3年に1回行われる特殊建築物等定期調査において、防火区画の不具合が指摘されていることが少なくありません。

どんなに消防訓練や消防設備点検をきちんと行っても、基本の防火区画に不具合があっては取り返しのつかないことになってしまいます。きちんと施工されているか、管理組合を通じて一度ご確認されることをお勧めいたします。

 

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